薬局時代、ドクターと仲良くなるのが得意だったヤクビジです。
あるあるですよねー、患者さんが冷たい反応しか返ってこないとか。先輩薬剤師は患者さんと上手くコミュニケーションとってて、かかりつけ薬剤師になってたりとかとか。
自分も新人時代には患者さんの塩対応に打ちひしがれてましたが、「聞く」ことを意識したことにより患者さんが笑って話してくれるようになりました。
気難しいドクターとも良好な関係性を気づき、あるお医者さんとは門前に薬局を出店するまで仲良くなったり。
この「聞く」という『傾聴力』を高めることで、あなたが感じる服薬指導への苦手意識は克服できます。患者だけでなく職場のコミュニケーションだったりプライベートにも活かせるので、ぜひ参考にしてみてください!
本記事を作成するにあたり、自分の経験と併せて以下の書籍も参考としてます。
早速いってみましょー!
会話を思いのままに操る傾聴と心を閉ざす傾聴の違い
まずは傾聴の定義と、良い傾聴/悪い傾聴を具体例でイメージしていきましょう!
傾聴とは?
傾聴とは、相手の話に注意深く耳を向け、心をこめて聞き、相手の言葉の背後にある感情や意図、悩みや願望を感じ取るコミュニケーション技法。
ただ話を聞くだけでなく、話し手は何を思っているのか掴み取るところまでがセットです。
例えば、患者さんから以下の話があったらどう切り返します?
風邪をひいて薬をもらったんですけど・・・、粉薬なんですね。
まず、ちょっとご自身で考えてみてください。次に話す内容が浮かんだら、以下の回答例に進んでください。
【回答例1】
そうなんです。お子さんにも飲ませやすい甘みのある粉薬です。これは痰を出しやすくするお薬で・・
【回答例2】
はい、今回は粉薬なんですけど、粉薬だと何か気になることはありますか?
はい、回答例2が優れた傾聴姿勢です。患者さんの含みのある発言に対し、「あれ、何か気にしてるのかな?」と相手の悩みを深堀していく姿勢になっている。
回答例1のように薬の説明をすぐに始めることはありがちだけど、今回のケースではNG。
傾聴で絶対に避けたい3つの姿勢があるので、その過ちをしていないかチェックしてみましょう。
早く帰りたそうな患者さんには、回答例1のようにポイントだけ伝えるのがGood!ケースバイケースですね!
傾聴で絶対に避けたい3つの姿勢
相手の話を受けて避けたい対応は、否定、比較、自分の話の3つ。頭文字でHHJ。
- 否定
- 比較
- 自分の話
人は自分の話を聞いてもらいたいし、認められたい生き物。それを否定する行為が上記のHHJです。具体例を見てみましょう。
Bad例
①否定
一蘭のラーメンっておいしいよね!
私、一蘭のとんこつラーメンって嫌いなんだよね。
②比較
一蘭のラーメンっておいしいよね!
いや~、私は一風堂のラーメンが好きなんだよね!
③自分の話
一蘭のラーメンっておいしいよね!
そうだよね!あの細麺がスープに絶妙に絡み合って、面をすするたび口いっぱいに風味が広がるよね。それでXXXXだし、あとXXXXもあるし、あ、そういえばこの前もXXXX(無限に終わらない)
いかがでしょう。話を切り出したヤクビジ君の、会話を進める気持ちが無くっている顔が浮かぶのではないでしょうか。
否定・比較・自分の話をすると、相手の話が弾みませんよね。ではどうするか。良い例を見てみましょう。
Good例
一蘭のラーメンっておいしいよね!
わかる!おいしいよね~!一蘭のどこが好きなの?
一蘭のラーメンってXXXXX
今度はヤクビジ君が楽しそうに話してますね!実は、シゴタカさんの返答は会話を転がすポイントにあふれた切り返しになっています。
Good例のように会話を思うままに操る(言い過ぎ)傾聴をするにはどうすればよいか。上記ポイントの解説とセットで具体的な手法を次の章でみていきましょう!
傾聴の鍵を握るポジショニングと傾聴力を高める会話術
傾聴力という言葉から聴き方に注力しがちなんですが、最初に正すべきは聞き方ではなくポジショニング(立場)取り。
ポジショニングを確立させたら、相手の思考を引き出すピックアップクエッションをしつつ、共感と褒めを織り交ぜます。
どういうことか、説明していきます!
人は見た目が9割。ポジショニング(立場)を取ろう
ビジネス書に「人は見た目が9割」とか「第一印象が大事」というフレーズで溢れている。
9割は言い過ぎですけど、見た目の影響は対人関係においてめちゃ重要な要素。
というのも、メラビアンの法則をご存じでしょうか?メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおいて相手に影響を与える要素と割合に関する法則で以下に分解できる。
- 言語情報:7%
- 聴覚情報:38%
- 視覚情報:55%
簡単にすると「何を言ったかより、外見や声のトーンが人の印象に影響を与える」というルールですね。
例えばあなたは、洋服を買いに行ったとき服に悩みました。店内を見渡すと、オシャレで押し売りしなそうな店員と、なんかダサいけど凄く営業されそうな店員がいる。どちらに相談したいです?
前者の「オシャレ&押し売りしなそう」な店員に話しかけたくなりません?視覚情報というのはそれだけ強力なんです。
薬局に置き換えると、以下に注意すると良いでしょう。
視覚情報
- 清潔感
- 笑顔
- 自信のある顔
聴覚情報
- 相手に合わせた声の速さ
- 普段より気持ち高めにした声
言語情報
- 薬の説明
- 患者さんの悩みを特定する傾聴
第一に視覚情報、次に聴覚情報を整えて、患者さんに「この人なら話しても大丈夫そう!」というポジションを作る所から始めましょう。
その土台ができたら、次に会話術へ進んでいきましょう!
傾聴力を高める会話術
シンプルで強力な方法は3つ。「ピックアップクエッション」と「共感」と「褒め」ること。
初見では想像しにくいピックアップクエッションだけ補足しますね!
相手が発言した単語や主旨を拾い、即時に短い質問を投げかけるテクニック
「ピックアップクエッション」と「共感」と「褒め」を活用することで、話を聞いている姿勢と相手が気持ちよく話す潤滑油になります。
先ほど出したラーメンの話を元に、上記3点をちりばめてた会話を見てみましょう。
Good例
一蘭のラーメンっておいしいよね!
わかる!(共感)おいしいよね~!(褒め)一蘭のどこが好きなの?(ピックアップクエッション)
一蘭のラーメンって細麺にスープが絶妙に絡むのがいいんだよね!
確かに!(共感)ラーメンは細麺が好きなの?(ピックアップクエッション)
細麺もいいけど太麺もそれでいいところはあるね!
ラーメン詳しいんだね!(褒め)太麺だとオススメはどこなの?(ピックアップクエッション)
それはね・・・
ヤクビジ君、オモダカさんに転がされてますねw
人は自分の話を聞いてもらいたい生き物です。自分の話に対し褒めて質問されると、もう話したくてしょうがない。
この「ピックアップクエッション」と「共感」と「褒め」を繰り返し、相手の真なる悩みをくみ取ることで、より的確な服薬指導につながります。
真面目に、冒頭の患者さん例で試してみましょう。
風邪をひいて薬をもらったんですけど・・・、粉薬なんですね。
はい、今回は粉薬なんですけど、粉薬だと何か気になることはありますか?(ピックアップクエッション)
子供が粉だと嫌がるんですよね。前回に飲んだ薬が苦かったみたいで。
あぁ、それは嫌がっちゃいますよね(共感)。甘い粉薬でも嫌がりそうですか?(ピックアップクエッション)
トラウマになってるのか、全部嫌がるんですよ。もう、飲ませるのが大変で。。。
嫌がると口に入れてくれないですもんね(共感)。どうやって飲ませているのですか?(ピックアップクエッション)
子供の好きなオレンジジュースに混ぜてるんですけど、それでも薬に気付くみたいで。
色々と工夫されてるんですね(褒め)。オレンジジュース以外に試されたことありますか?(ピックアップクエッション)
いや、オレンジジュース以外は試したことがないです。
なるほどですね。そうしたら、こういった方法が・・・(的確な服薬指導へ)
このように、「ピックアップクエッション」と「共感」と「褒め」をちりばめて相手の悩みを深堀りする傾聴により、的確な指導につなげていきましょう。
まとめ
最後に本記事のまとめです。
- 否定・比較・自分の話(HHJ)はNG
- まずはポジショニング(立場)を確立
- ピックアップクエッション・共感・褒めによる深堀り
今回の記事を参考に見た目や会話法を変えてもらうと、患者さんの反応が劇的に変化するので、ぜひ取り入れてみてください!
ピックアップクエッションや褒めについて具体的の手法を学びたい方は、私が傾聴力を高めるために参考とした以下2つの本も併せてチェックしてみてください!
※今回の参考図書