こんにちは!薬剤師だけど薬剤師っぽくない仕事ばかりしてるヤクビジです。
本記事はこんな悩みを解決する内容です。
どうせなら「給料を上げたい」と思うのは、みな共通の願望でしょう。
何を隠そう私もそのひとり!
いまの職場で給与UPが見込めないなら、転職するのも手段のひとつ。
ただ、やみくもに転職活動をしても、期待通りの結果を得ることは難しいので、きちんと考えてから行動する必要がある。
この記事を読んでもらうと、年収が決まるルールが理解でき、転職で高年収を引き出すために取るべき方法が分かります。
わたしは新卒から15年、薬剤師として働きながら転職を2回経験してきた。それぞれの転職タイミングで年収を100~150万円UPしてきた経験があるので、戦略や考え方は間違って無いと思う。
では、さっそくみていきましょう!
給与が決まるルールと高年収人材の条件を知る
高い年収をもらうためには、そもそも『給与』はどんなルールで決まるのかについて理解するのがとても重要。
スポーツやゲームでは、ルールをしっかり把握しないと勝てないですよね。ビジネスの世界でもまったく同じ。
高い給料を得たいのであれば、給料が決まるルールをしっかりと押さえよう。
給料はあなたの価値に対する『評価』
会社から支払われる給与は、あなたの価値に対する会社からの『評価』です。
ここでいう価値とは、「あなたのおかげで会社がどれぐらい儲けられるか」のこと。
ただ、具体的にいくら稼げるのか数値にするには、実際に働いてもらわないと分からない。
なので転職の場合には、過去の職務経歴や実績から仕事を処理する能力を予測し、その期待値の評価として給与が決まります。
ちなみに仕事に対する能力とは、バリバリと色んな仕事をこなせる「できる人」ではなく、「その会社で求める能力」のこと。
例えば、以下のような求人を出してる会社が3社あったとする。
- 質の高い服薬指導を大量にこなせる
- 管理者として組織をマネジメントできる
- ラウンダーとして色んな店舗にヘルプできる
仮にあなたは、転職活動中の「服薬指導マスター」だとします。
①の「質の高い服薬指導ができる薬剤師」を求める薬局に応募したら、とんでもない高評価で給与交渉も期待できる。
でも、②の「マネジメント能力のある管理者」を求める薬局に応募してしまうと、そもそも必要がないので低評価となり、入社すらできない可能性が高いです。
会社は、『その会社が稼ぐために、その会社が求める能力を持った人』に対して価値を感じる。価値に対する評価として給与が決まる、という流れですね。
年収が高いというのは、それだけ価値が認められてるということですね。
レアな人ほど市場価値が高い
一般的に、他の人ができないことを出来る人は市場価値が高くなるので、給料も高水準となる。
全薬剤師の中で珍しい人ほど、市場価値が高くなり、支払われる金額も大きくなるという構図ですね。
有名な絵画とか、限定グッズみたいな、数が少ないモノって金額が高くなるじゃ無いですか。それと同じ理由。
例えば、前の章で例にあげた「服薬指導マスター」。
正直、薬剤師なら最低限のスキルだったりするので、身につけてる薬剤師の数は多いため、市場価値は低い。
薬剤師の市場価値が高いケースの1例をあげると、ヘルプ要員として色んな店舗をまわる人。いわゆる「ラウンダー」という人ですね。
ひとつの店舗での勤務を希望する人は昔から多く、かかりつけ薬剤師の流れもあり、ラウンダーを希望する人が少ないので市場価値は高め。
つまり高年収の条件とは、その市場では数の少ない能力や働き方ができること。希少なので価値が高く、その結果として報酬も大きくなるというロジックですね。
市場価値は時代によって変化します。今はどんな能力・働き方が市場価値として高いのか、アンテナを張り続けることは重要です。
小まとめ:給与は市場価値で決まり、市場価値の高さが高年収につながる
ここまでをコンパクトにまとめます。
- 給与はあなたの価値に対する評価。
- 会社が求めるスキルに合致するとあなたの価値は高まり、給与も高くなる。
- 一般的に市場価値が高いと給与も高くなる。
給料というのはあなたの価値に対する評価。
価値を高めれば評価もあがり、結果として金額も大きくなるという仕組みが、高年収を獲得するために知るべきカラクリ。
全薬剤師の中で貴重であるほど価値が高く、年収が高くなるわけですね。
ただそうなると、
いやいや、私は薬剤師のなかで市場価値の高そうな特殊スキルとかもってないし。。。
という不安が沸いてくると思います。
では、どうやって薬剤師の中で貴重な存在となるのか。この方法について次の章で詳しく解説していきます。
市場価値が高い条件の具体例と調べ方
市場価値の高い薬剤師になるには、「そもそもどんな条件に市場価値は高いのか」を知る必要があります。
学生時代の試験を思い出すと、テスト範囲の中から出題されそうな部分に絞り、効率的に勉強したじゃ無いですか。やみくもに勉強しても良い点はとれないですよね。
年収を高めるためには、まず市場価値の高い条件を知った上で戦略的に動いていくことが近道。
また、価値の高い条件を調べていくと、「あ、これならいけるかも!」という働き方がわりと見つかります。
ということで、市場価値が高い条件と具体例、調べ方について見ていきましょう!
人ができない・しない仕事ができると市場価値が高い
基本的には、人がやらない・できないことに対し、価値は高くなります(上のほうでも書きましたね)
なんとなくイメージしやすいと思いますが、自分ができないこと・嫌なことをしてくれると「うわ〜、ありがたい!」と感じるじゃ無いですか。
これが、価値の発生です。
市場価値の高い薬剤師になるには、周りの薬剤師ができないこと・やらないことができるようになることを目指します。
自分ができないことを出来る人って貴重ですよね・・・
薬剤師で高い年収を貰える条件の具体例
周りの薬剤師ができないことに対して価値が高いと言われても、「じゃあその条件って何?」と疑問になるでしょう。
どんな条件に対して高い年収を貰えるのか。ここでは『スキル』と『働き方』の2つに分けて、高年収を狙える具体例を紹介します。
- マネジメント能力
- 仮説検証力
- 問題解決力
それぞれ、簡単に補足します。
①マネジメント能力
部下の管理だけでなく、仕事の進め方の管理や取引先の管理なども含めたマネジメントができると価値は高い。エリアマネージャーは、この能力が無いと話になりませんね。
②仮説検証力
現状の仕事の問題点や、売り上げを拡大する方法など、解決したい課題に対し、自分なりの考え(=仮説)を立てて検証する力です。これは、物事の構造を正確にとらえる論理的思考力が試されるスキルです。
③問題解決力
問題に対し、解決するための道筋をたてて、実際に行動して突破する力です。頭でっかちではダメで、行動に移せなければなりません。そして、たいてい1人では解決できないので、周りを巻き込むリーダーシップ力も必要です。
・・・何やら小難しいですよね(汗
会社の課長や部長といった、立場が高い管理者に求められる能力だと考えてくれればOKです。
いろんな求人を見る限りでは、これらの能力があると800万円以上を狙うことができます。
つづいて、価値の高い働き方をご紹介していく。
- 複数店舗のヘルプ要員(ラウンダー)
- 在宅医療に積極的
- 人口の少ない地域
- 日曜・祝祭日の勤務、深夜勤務
また簡単な補足をしますね。
①複数店舗のヘルプ要員(ラウンダー)
大多数の人は店舗を固定して働きたがる。店舗を移動するのはめんどうですからね。。なので、複数の店舗にヘルプとして働く「ラウンダー」は重宝される。特定地域ではなく、全国規模のラウンダーは更に市場価値が高い。
②在宅医療に積極的
在宅をしなければならない流れになってますが、在宅に行きたくない薬剤師は多い。例えば、女性薬剤師が男性患者宅に1人で訪問することへ抵抗を感じる人は多い。安全管理のため2人1組にすると人が必要。
業界の流れとして在宅には取り組まなければなりませんが、担う人材は不足している。そのため、在宅医療を率先して取り組んでくれる人は価値が高い。あわせて、在宅案件を獲得する営業ができると、更に高年収が期待できたりする。
③人口の少ない地域
山村部や離島など、ひとが集まりにくい場所の求人は高年収の募集は多い。福利厚生も充実していて、引っ越し費用・家賃0や、社用車の無料レンタルなど給与いがいの魅力的なオプションが付いてたりする。この条件はけっこう知られているので、あえて狙うひとが多い印象。
④日曜・祝祭日の勤務、深夜勤務
ドラッグストアや病院勤務だと当然かもしれませんが、調剤薬局ではこの働き方を避けたがる人は多い。そのため年収は高くなる場合があるが、①~③に比べると低い。
あなたが「この働き方は避けたいな」と感じる働き方を想像してみてください。
いま考えた『嫌な働き方」は、周りの薬剤師も避けたい可能性が高い。そのため、あなたが考えた『嫌な働き方』は市場価値が高くお金を稼げる可能性も高い、というロジックですね。
ここに挙げた条件なら、優れた能力というより働き方が我慢できるのかという根性論的なものになるので、自分のスキルが思いつかない人でも歯を食いしばれば貴重な存在(=高年収)となれる。
一般的な人は『嫌な働き方』でも、あなたにとって『好きな働き方』ならラッキー!ちなみに自分は薬局時代、ラウンダーが大好きでした。
市場価値が高いスキルや働き方の条件を調べる方法は?
市場価値が高い条件を調べるには、広い(マクロ)視点と狭い(ミクロ)視点の両方から攻めます。
『薬剤師』に対して今の世の中は何を求めているのか広い視点でとらえつつ、自分の身近で求められてる人材はどんな人かという狭い視点を併せて見ていこう、という意味です。
具体的には、以下の3通りの方法です。①→③の順でマクロ→ミクロとなります。
- 薬局業界の動向から薬剤師の求められる姿を分析
- 求人内容から価値の高い条件を分析
- 周囲の給料が高い人を分析
簡単に補足解説していきます。
①薬局業界の動向から薬剤師の求められる姿を分析
薬局ふくめた医療業界は、国の方針にとても左右されます。2015年に作られた「患者のための薬局ビジョン」が、最近では知っておくべき資料。2025年までは薬局ビジョンにそった流れになりそう(2025年と2035年を目標として書いてある)
あと分かりやすいのは調剤報酬改定。新たに調剤報酬へ追加された項目は、その時代に薬剤師・薬局へ求めていることの裏返しだと理解するとGOODです。
②求人内容から価値の高い条件を分析
求人内容をみれば「どんな条件で給与がいくらか」の相場が把握できます。テストの答えが書いてある状態なので、1番てっとり早いですね。
求人情報は自分で調べるより転職エージェントから教えて貰うと楽。高年収で働くための条件を整理して提示してくれるので、素早く正確に調べることができる。
自分がときどき市場価値を確認するために利用している転職会社は以下にまとめてますので、参考にしてみてください。
③周囲の給料が高い人を分析
今の職場で給料の高い人、つまり職位が高い人たちのスキル・能力を分析する。自分がいち勤務薬剤師なら、管理薬剤師やマネージャーといった立場の人が備えているスキルを研究しましょう。
転職ではなく今の職場で給与UPを目指したい場合はこの方法を選択すべきで、上司やまわりの先輩の仕事ぶりを解析する(何なら直接質問する)のが最短です。
世間一般にどんな薬剤師が求められているのか知り、自分の身近なところで価値の高い条件は何なのか調べていくといった流れです。
市場価値の高い条件は時期によって変わります。薬剤師の普遍的な価値は『薬学的知識』だと思ってるので、薬学の勉強は継続するのが大事ですね!
高年収を引き出す戦略:3STEPで進める
最後に、高年収を引き出すために取るべき手順を、3STEPでまとめます。
現在の薬剤師市場において、どんな条件に価値が高いとされているのか分析します。
自分ができることや、我慢できることを分析します。
市場価値の高い条件のなかから、自分が”できること”をマッチさせていきます。
①市場価値の高い条件を分析する
高年収を狙うなら、まずは市場価値の高い条件は何なのか調べましょう。
転職とか今後の働き方を考えるときって、自己分析から始める人が圧倒的に多いんですよ。「自分はこうなりたい」とか「こんな働き方がしたい」とか。
ただ、自分の理想を実現すると給料が安い場合もあるんですよね。。
私生活を充実させたいし責任負うのも嫌だから、1スタッフとして平日の9時~17時勤務の残業無しで1,000万ほしい!
残念ながら薬剤師は、こんな働き方で高年収が貰える世界ではありません(汗
自己分析も大事ですが、高い年収を狙うのであれば市場価値が高い条件を調査するところから始めましょう。
②自分のできること・我慢できることを分析する
続いて、自分の能力やスキル、我慢できる働き方を棚卸します。
これは、先ほど調べた市場価値が高い条件や、過去に働いてきた職務経歴をもとにすると考えやすい。例えば以下のように考えます。
【価値が高い条件】
ラウンダーといて複数店舗をまわる働き方。
【自分の働き方】
今まで1つの店舗に固定して働いていたが、複数店舗をまわることで色んな知見を貯められそう。毎日ちがう場所にいくのも新鮮な感じだし、我慢できるかも。
【過去の職務経歴】
月間処方せん枚数が2,500枚、総スタッフ数が8名の店舗で管理薬剤師を経験
【自分のスキル・能力】
管理薬剤師として必要な知識あり。MSやMRなど薬局外の関係者と交渉もできる。スタッフの働き方や精神的なサポートをするコミュニケーション力やマネジメント力もあるな。
このような流れで、自分のできることや現在のスキルを書き出してみましょう。
③自分のできることを元に市場価値が高い条件をすり合わせる
①で調べた条件と、②で分析した自分のスキル・価値観をすり合わせていきます。②であげた例を使い、条件をすり合わせてみます。
【価値が高い条件】
ラウンダーといて複数店舗をまわる働き方。
【自分の働き方】
今まで1つの店舗に固定して働いていたが、複数店舗をまわることで色んな知見を貯められそう。毎日ちがう場所にいくのも新鮮な感じだし、我慢できるかも。
【条件のすり合わせ】
全国エリアで飛び回るのは辛そうだから、関東エリア、できれば1都3県ぐらいならラウンダーとして働けそう!
【過去の職務経歴】
月間処方せん枚数が2,500枚、総スタッフ数が8名の店舗で管理薬剤師を経験
【自分のスキル・能力】
管理薬剤師として必要な知識あり。MSやMRなど薬局外の関係者と交渉もできる。スタッフの働き方や精神的なサポートをするコミュニケーション力やマネジメント力もあるな。
【条件のすり合わせ】
店舗管理者なら自信はある。経験はないが、小規模店舗を複数管理するマネージャーとかならできるかも。もしくは本部スタッフとしてキャリアUPを狙うのもよいかな。
このような感じで、給与が高い条件を自分がどのように対処できるのか、考えていきましょう。
能力的に足りないと感じたらすぐに転職せず、今の職場で働きながら勉強やキャリアを積んで、必要なスキルを補うという選択も忘れずに!
おまけ:面接しだいで年収がUPする場合あり
面接しだいで、求人での掲載金額より年収がUPすることもあります。
特に、中小規模の薬局や社長の一存で決まっていくような企業文化の会社で発生する場合が多い印象ですね。
面接で給料UPの交渉ができるか否かは、じっさいに面接まで進めるか、転職エージェントから過去の転職者の実態を聞くしか知る方法はありません。
ただ、100万円とか200万円の単位で年収が跳ね上がることもあるので、頭の片隅に入れてくことをおススメします。
自分も、面接中に給料をあげてもらいました。
まとめ
最後に本記事のまとめです。
- 給料はあたなの価値に対する評価で市場価値から決まる。
- 市場価値の調査は業界動向・求人情報・高年収人材の分析。
- 市場価値から逆算し、自分にあう条件をすり合わせる。
高い年収を狙いたい薬剤師のかたは、計算高く動いていくことが必要になります。
やみくもに転職活動をするまえに、しっかり戦略を練ってから動いていきましょう!