管理職の薬剤師、ヤクビジです。
という疑問を抱える人に向けて、カッツ理論の説明とそれを活用した解決策をまとめました。
カッツ理論は人材育成の論理としてシンプルで使いやすく、自分自身のキャリアを作るときや、部下を育成するときの指標として使ってきたので、めっちゃおすすめです。
さっそく見ていきましょう!
薬剤師向けに薬局の業務内容を中心に解説してますが、一般向けの業務にも触れてますので、薬局以外の方もぜひご参考ください!
カッツ理論は職位を3つに分け必要能力の優先度を提唱
カッツ理論とは、キャリアのステージによって求められる能力が変化することを唱えた理論。ハーバード大学のロバート・カッツが1955年に作りました。
元々はマネージャー向けとして作られましたが、人材教育の全般に幅広く活用できる、とても使い勝手のよい論理です。
カッツ理論では、キャリアを3つのステージに分けて、『それぞれの段階で必要な能力の割合が変化する』と説いてます。
以下で詳細を説明していきます。
①3つの職位:経営者・管理者・監督者
カッツ理論では、以下の3つの職位にキャリアを分解して考える。
- トップマネジメント=経営者:取締役・執行役員
- ミドルマネジメント=管理者:部長・課長・ブロック長
- ロワーマネジメント=監督者:係長・リーダー・エリマネ・薬局長
経営者は、会社の経営陣をさします。役職としては取締役・執行役員ですね。
管理者は、事業を管理している人たち。役職は部長・課長が該当します。薬局のブロック長も管理者にあたりますね。
監督者とは、『作業現場の監督者』を意味する。係長やリーダー、主任といった役職。薬局だと薬局長やエリアマネージャーです。
②3つのスキル:概念化・対人関係・業務遂行
次にスキル。必要な能力を、以下の3つに分けて考えます。
- テクニカルスキル = 業務遂行能力:実務を処理する能力、業務知識、など
- ヒューマンスキル = 対人関係能力:コミュニケーション力、交渉力、など
- コンセプチュアルスキル = 概念化能力:仮説検証力、戦略立案力、など
それぞれ補足します。
①テクニカル・スキル
業務遂行能力と訳します。与えられた仕事を処理する能力のことですね。具体的には以下。
- 調剤:ピッキング、散剤・水剤・軟膏の調整
- 服薬指導:薬学的な知識
- PC操作:レセコン、薬歴、Word・Excelなどオフィス系ソフト
- メールや報告書など書類作成
- その他、店舗の仕事に必要な能力
カッツ理論では監督者層に重要度の高いスキルとして書かれてますが、新人もふくめ全ての薬剤師・ビジネスマンが最初に身につけるべき能力。
②ヒューマン・スキル
対人関係の能力で、他の人とのコミュニケーション力や、交渉力といったスキルです。
患者さんへの対応や周りのスタッフとの連携、上司へのお願い(交渉)のように、すべてのステージで力を発揮する能力。
③コンセプチュアル・スキル
概念化能力と訳されます。正直なところ日本語でいわれてもピンとこないですよね。。
これは問題の本質を把握して解決策を導く力のことで、論理的思考力や仮説検証力、問題解決力、戦略立案力といった能力を意味します。
上の役職になるほど、問題点を見つける力や売り上げをUPするための戦略を立てる必要がありますよね。
キャリアの段階ごとに必要スキルの割合や難易度が変化する
3つのステージに分解し、それぞれの段階で必要なスキルの割合が変化してくることを唱えたのがカッツ理論です。
一般社員だからテクニカルスキルだけを伸ばせば良いというわけではなく、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルも修得する必要があるのだ。
また、それぞれのスキルは職位が上になると高度な内容を求められることは注意したい。どういうことか、ヒューマンスキルが想像しやすいので例にして説明する。
ヒューマンスキル、つまりコミュニケーション力は、カッツ理論からすると全てのステージで必要だとなってましたね。仕事は相手あってのことなので、当然といえば当然。
職位が下の監督者では、店舗やチームといった『作業現場』の関係者とよい関係をつくり、彼らを取りまとめて仕事を推進していくスキルが重要となります。
いっぽう、これが管理者や経営者となってくると、人を率いて仕事をすすめる能力はもはや基本装備で、人心掌握であったり交渉術など、難易度の高い対人能力が求められてくる。
単純に考えすぎてはいけない理論だが、とはいえ、「3つの職位に対し必要なスキルは、グラデーションになっているんだ」と覚えやすく、キャリア形成を考える上で非常に使いやすい理論には間違いない。
自分の目指すべきキャリアや部下になってもらいたい姿が、どのステージに当てはまるのか想像すると、何のスキルを修得すればよいか考えるうえで役立ちます!
カッツ理論から具体的にスキルを習得する道筋
座学と経験の両輪で習得していきます。
本やセミナーで学んだだけでは頭でっかちになるだけ。経験が大事です。実務に落とし込み体に染み込ませ、スキルを習得していきます。
ポイント1:ステージの変化を早期に自覚する
なによりも重要なのは、ステージの変化を早く自覚しましょう。人材育成する立場なら、早く気づかせてあげましょう。
人って、立場や環境に影響をうける生き物です。自分のステージが変わることを意識すると、それに見合う能力を身に付けようとします。
部下の教育をしている場合は、「君には1つ上の視点で仕事をしてもらいたい」と直接伝えて、強制的に意識させましょう。
ポイント2:必要な能力が変わることを自覚し積極的にチャレンジ
ステージの変化を自覚したら、つぎは経験値をためることが重要となります。
理論を勉強することも大切だが、実際にチャレンジしてしまう方が成長のスピードは早い。百聞は一見に如かずですね。
自分のキャリアを積み上げたいのであれば、自分が磨きたいスキルを使いそうな仕事に対し、とにかくチャレンジします。
たとえ「ちょっと難しいかも」と感じても、歯を食いしばって行動していると一定の成果を出せたりするので、おびえずに立ち向かいましょう。
教育する場合もおなじで、とにかく体験させましょう。失敗するかもしれませんが、それもよい経験。
会社の損失として本当にヤバい失敗にならないよう調整はしながら、どんどん新しい仕事に挑戦させましょう。
マネジメントは理論だけ知ってもうまくいかず、経験によって身につくものです。
まとめ
最後のまとめとして、カッツ理論の図解を再度はります。
自分のキャリア形成や部下の人材育成では、まずは次のステージを意識し、必要なスキルについて理論を覚えつつ、とにかくチャレンジしてたくさんの経験を積みましょう。
シンプルで覚えやすいので、ぜひ活用してみてください!