薬剤師ですけど、もっぱら薬剤師っぽくない仕事ばかりのヤクビジです。
何か仕事を作ろうと思っても、何をどう考えればよいのか、けっこう難しく悩みますよね。なので「仕事を作る方法を仕組化する」という内容をまとめます。
やり方を覚えてしまえば簡単で、社会人としてキャリアを積み重ねる上では必須かつ重要なスキル『問題解決力』をみがく練習にもなります。
悩んでいるかたは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは早速いってみましょー!
また、本記事の解説動画は以下になりますので、併せてチェックしてみてくださ!
職場にあふれる『不』が仕事につながる道
職場で仕事を作るには、色んな角度からまわりを見渡して感じる『不』のポイントを見つけることが鍵です。不満、不便、不利益・・・といった感じ。
あなたが見つけた『不』を解消することを仕事にしていきます。
どういうことか、具体的に解説していきますね。
『不』を解決すると価値が出る
『不』というのは、打ち消しや否定を意味する言葉。不満とか不便とか、マイナスな物事に使われますね。
不を解決すると、以下のようなプラスの状態となる。
『不』の状態を解消し、プラスの状態になった例
- 不満な状態を解消 ⇒ 満足する
- 不安な感情の解消 ⇒ 安心する
- 不便な環境の解消 ⇒ 便利になる
このように、不を取り除いて貰えるとありがたいですよね。ありがたい、つまり価値がでます。
色んな事業を展開してるリクルート社も、新しくビジネスを作る上で『不』を探すことの重要性を説いている。
リクルート社では、ビジネスを作る時に、「自分たちに何ができるか」の前に、「世の中にどういう“不”があるか」を考えます。“不”とは、リクルート内で使われている言葉で、不満・不安・不足・不便・不快・不都合などの総称です。
引用:売れる商品・サービスには、必ず「4つの特徴」が存在する
なので、まずは『不』を探していきましょう。
『不』の見つけ方
『不』を探すというのは、周りで困っていることを探すことです。
具体的には、次のような状態を見つけにいきましょう。
- 不満
- 不安
- 不便
- 不足
- 不快
- 不都合
- 不利益
これは、私が仕事を作りだすときによく使う視点です。上記に6W2Hを絡ませて探しにいきます。
6W2Hについて
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(だれが)
- Whom(だれに)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How much(いくらで)
例えば、薬局の業務に6W2Hを絡めて『不』を探すと以下みないな感じです。
毎日(When)の発注業務(What)で、薬を発注する人(Who)は、調剤棚の様子を全て確認する必要があり(How)、時間がかかって残業が発生する状態が不満。
6W2Hの全ての項目を満たすと抜けもれが無くなりますが、必要な項目だけ使っても全然OKです。このようにして、困っている状態を探しましょう。
慣れないうちは、「誰が、どんなことに、困っているか」の2点だけを考えると分かりやすいです!
会社の利益につながる『不』を見つける
注意しなければいけないのは、『不』の解決が自分の利益にしかならないケースはNG。会社や店舗、組織にメリットが出る『不』を探します。
例えばあなたが、毎日の売り上げ報告をエクセルへ入力するのに1時間かかり、残業が必ず発生する状態が「不満」だとしましょう。
この問題を企業目線へと変えてみます。すると会社は「毎日1時間」の残業代というコストがかかっている状態だと分かる。つまり、会社は「不利益」なんですよね。
売上報告で発生している残業じたいを無くすことは、あなたにとっては「不満」の解消で、会社にとっては「不利益」の改良となり、お互いに価値がうまれる。
つまり、解決することで色んな『不』の状態が解消される、ナイスな問題と言えます。
自分の残業を誰か別の人にお願いすることで、自分の不満を解決する方法はどうでしょうか?これだと、不満な状態を別な人に押し付けただけですよね。
これでは会社の利益にはならないし、不幸な人を量産するだけなので、『不』の解消方法としては適さない。
このような、自分だけの『不』ではなく、他者や会社としても『不』になっていて、解決することにより皆がハッピーになることを探しましょう。
まず「自分が困っていること」を考え、その問題で他の人が困っている内容を探すのが考えやすいですね。
不の解決策が仕事になる
不を見つけたら解決方法を考えましょう。その解決方法を上司に提案をしてOKをもらい、解決するための行動をあなたの仕事とします。
この章では、解決方法の考え方(As is/To be)と、解決策の提案(空雨傘の論理)、『不』を仕事にする流れについて具体的な説明していきますね。
解決策の考え方は最も望ましい状態から逆算!(As is/To be)
『不』の解決方法は、『As is/To be』という考え方を使うのがおススメ。
『As is/To be』とは、現状(As is)と理想(To be)のギャップを分析し、解決方法を考えるフレームワークです。
「不が解消されて、最も目指すべき姿は何?」を思い浮かべ、現在の状態と比較します。理想の姿になるため障害となっているコトを取り除くことが解決策となる。
イメージしやすいよう、具体例で見てみましょう。
会社として「不利益」な状態ですね。この『不』の状況にたいして目指すべき姿を考えます。例えば以下が思いついたとしましょう。
- 不動在庫が発生しない仕組みを作る
- 廃棄になる前に在庫を使いきる(処理する)
- 薬局長の業務を少なくして在庫管理ができるようにする
- 在庫管理の担当を薬局長ではない人に任せる
この中で、最も目指すべき姿はどれでしょう?
①と②を併用することが、問題に対する本質的な解決方法ですね。③のように薬局長の時間を作っても、結局は不動在庫を無くす方法を考える必要がある。そして、④の仕事をあなたが獲得することを目指しているので、③と④は除外します。
以上から、目指すべき姿を以下とします。
このように目指すべき姿を定めたら、現状と比較をして問題となっていそうな部分の改善案を考えましょう。ありきたりな解決策ですが、例えばこんな感じ。
- 過剰在庫にならぬよう、発注点を改善する。
- 分割調剤で少量の購入に変更する。
- 週一で、動いていない薬をチェック。
- 3ヶ月動かなければ不動在庫として分別する。
- 不動在庫は、交換会や買取業者を利用して廃棄額を減らす。
考えついた解決策それぞれに対し、必要な費用や人の作業コスト、実際の運用方法など考え、会社にとって最も良い案を選択します。
選んだら、次に紹介する『空雨傘』理論を使って提案していきましょう。
解決策の提案は『空雨傘』の論理を使う
『空雨傘』理論とは、何かを提案するときの論理構成に使いやすい技術です。コンサルタントとかも使いますね。
どんな理論でどのように活用するのか、簡単に解説します。
『空雨傘』とは:①事実と②解釈と③結論を区別するための比喩。
例えば、あなたが外に出たときに、空を見上げて黒い雲がたくさん浮かんでいたら、どのようなことを思いますか? 恐らく、次の例文のように考えるのではないでしょうか。
黒い雲が多いなぁ。しばらくすると雨が降りそう。今日は傘を持って行こう。
上記は次のように分解できる。
- 事実(空):外に出ると黒い雲が多い。
- 解釈(雨):しばらくすると雨が降りそう。
- 結論(傘):傘を持って行こう。
あなたは、黒い雲という目の前の事実に対し、雨が降りそうという解釈をして、傘を持っていくという結論(アクション)を取る。
このように、事実から解釈を導きだし、その結果として結論(アクション)が決まるという流れが論理的なので、誰かに提案すると納得してもらいやすい。
前の段落であげた例をもとに空雨傘の理論を使ってみます。まず、内容のおさらい。
- 過剰在庫にならぬよう、発注点を改善する。
- 分割調剤で少量の購入に変更する。
- 週一で、動いていない薬をチェック。
- 3ヶ月動かなければ不動在庫として分別する。
- 不動在庫は、交換会や買取業者を利用して廃棄額を減らす。
こちらに、空雨傘の理論をあてはめた考えた提案内容が以下。
- 事実(空):不動在庫の廃棄が毎月発生しており、金額にすると平均で10万円。
- 解釈(雨):廃棄は経営的に損失。不動在庫が発生しない仕組みと処理する方法が必要。
- 結論(傘):分割や発注点を工夫し、在庫の定期チェックと不動品の交換・処理をする。
このように事実、解釈、結論に分類して、提案する内容を整理しましょう。
あと、ちょっとだけ補足。結論(アクション)は、1つだけではなく複数のプランを考えてから最善策を絞り込むと良い。
そして提案するときには、1つのアクションだけを伝えるのではなく、複数のアクションから「なぜそれを選んだのか」の理由をセットで伝えましょう。
これは、幅広く問題解決策を考えたアピールにもなるので説得感が増します。
ちょっとした工夫により、できる感をアピールできます。
熱意を持って提案した解決策をあなたが実行する!
問題に対する解決策と、提案する方法を準備したら、最後は熱意を持って上司に提案しましょう。
この、情熱を伴うところがポイントです。
論理だけでは動かない人も、感情に訴えかけると動きます。自分の経験上、熱を持ってメンバーから提案されると任せたくなる。
恥ずかしがらず、熱い情熱をたぎらせて提案しましょう。
そして、無事に上司から承認を得たら、あなたが責任者となって実行しましょう。
これで無事に、あなたの仕事を作ることができました!
まとめ
最後に仕事の作り方について、ポイントをコンパクトにまとめます。
- 職場で『不=困りごと』を見つける。
- 現状と理想(As is/To be)で解決策を考える。
- 空雨傘の理論に情熱をまとわせて提案。
『不』を探し解決するという行為は、問題解決力を高める最高の練習になります。
今後のキャリアを伸ばしていくためにも、ぜひ今日から職場の『不』を探して解決することを頑張っていきましょう!